2022年7月バージョンアップにて対応するインボイス制度対応に関する仕様変更点、運用上の注意点をご案内いたします。
制度概要
インボイス制度とは
インボイス制度とは、課税事業者(消費税を納める義務のある事業者)が支払った消費税を計算(仕入税額控除)する際に必要な手続要件です。
正式には「適格請求書等保存方式」といい、課税事業者の「適格請求書(インボイス)」提出・保管により、正確な仕入税額控除を行うために必要な制度となります。
インボイス制度で必要な対応
2023年10月1日に導入されるインボイス制度では、税務署⻑からの登録を受けた課税事業者である「適格請求書発行事業者」だけが「適格請求書」を交付でき、また「適格請求書発行事業者」だけが「適格請求書」等の保存を要件として仕入税額控除を受けることができます。
そのため、
・自社が仕入税額控除を受ける
・取引先が仕入税額控除を受ける
という2つの視点で対応することが必要になります。
適格請求書に必要な記載事項
適格請求書に記載する必要がある項目は以下の6つになります。
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
④税率ごとに合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤消費税額等(端数処理は一請求書当たり、税率ごとに1回ずつ)
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
7月バージョンアップにおけるインボイス制度への対応
案件の取扱い
本対応は、2022年7月バージョンアップ後に新規作成される案件に適用されます。
そのため、バージョンアップ前に作成している案件、バージョンアップ後に作成した案件を以下のように分類します。
バージョンアップ前に作成された案件:
従来通りの消費税端数計算で請求書が発行される「非適格」案件となります。
バージョンアップ後に作成される案件:
適格請求書の要件を満たす請求書が発行可能な案件として「適格」案件となります。
※2022年7月バージョンアップ前に作成された案件は、バージョンアップ後にすべて「非適格」案件となります。
※「非適格」案件を「適格」案件に変更することは出来ません。
案件の確認方法
画面上での確認
案件基本に「適格請求書」項目が追加されます。
「適格請求書」項目の表示によって「適格」案件か「非適格」案件かを確認することができます。
アウトプットでの確認
アウトプット「案件CSV出力」に「適格請求書」列が追加され、「適格」「非適格」が表示されます。
各画面ごとの仕様変更点
案件基本画面
・案件基本に「適格請求書」項目が追加されます。
※上記案件の取扱いで画面を確認いただけます。
利益計画画面
・売上項目に「金額」「課税区分」「税率」の項目が追加されます。
・また、「売上額」は自動計算される編集不可の表示項目となります。
※利益計画画面上部サマリの売上金額合計はこの「売上額」を合計したものになります。
見積書作成画面
・税率別の合計金額を確認する内訳表示が追加されます。
・明細行に「税抜金額」の項目が追加されます。
請求登録画面
・税率別の合計金額を確認できる「内訳」ボタンが追加されます。
・「消費税調整」欄で消費税金額を調整した場合、適格請求書の要件から外れるため、請求書の発行が不可となる仕様となります。
※申請が承認された段階で自動で請求書発行済になります。
・「消費税調整」欄は、社員マスタの「管理者権限」または「経理担当」のいずれかにチェックのあるユーザーにのみ表示される仕様となります。
売上登録画面
・税率毎、課税区分毎の本体金額(外税:税抜金額、内税:税込金額)合計が一致しないと登録できない仕様に変更されます。
請求書発行画面
・「適格」案件と「非適格」案件の都度請求書を同時に発行できない仕様となります。
・「適格」案件と「非適格」案件の請求データが混在した合計請求書は作成できない仕様となります。
・検索条件に適格案件と非適格案件で絞り込む「適格/非適格」項目が追加されます。
合計請求書作成画面
・消費税額の算出方法が税率毎の対価合計(税抜)に対して税率を使用し計算した消費税額の合計に変更されます。
※特定の税率において内税のみの場合は、対価合計(税込)に対して消費税額を計算します。
・上記に伴い、合計請求書明細の「消費税」項目が非表示となり、「税抜金額」が追加されます。
・合計請求書作成時に個別の請求書と消費税額、税抜金額に差異が生じた場合は、確定時点で個別の請求データに自動補正が入ります。
※請求データが売上確定済であっても上記の補正がされる場合があることにご注意ください。
対外帳票
適格請求書に必要な記載事項に対応した項目が表示されます。
No. | 項目 | 説明 |
---|---|---|
1 | 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号 | 部門マスタ1階層「適格請求書発行事業者登録番号」項目を入力すると表示されます。 帳票上の項目名が「課税事業者登録番号」から「適格請求書発行事業者登録番号」に変更されます。 |
2 | 取引年月日 | 従来より変更なし |
3 | 取引内容(軽減税率の対象品目である旨) | 従来より変更なし |
4 |
税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率 |
税率ごとの対象金額の表示を「 税込金額/ 内消費税」の記載から、「税抜金額/消費税」の表記に変更 |
5 | 税率ごとに区分した消費税額等 | 適格請求書の要件に従い、「税率ごとに区分して合計した対価の額」から税率を使用して端数処理1回のみで直接算出 |
6 | 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称 | 従来より変更なし |
*1:見積書、注文書、注文請書、納品書、検収書、請求書、合計請求書において表記が変更されます。
アウトプットの変更
出力内容変更
本対応に伴って以下のアウトプットの出力内容に変更がございます。
・案件CSV出力
・見積明細CSV出力
・請求明細CSV出力
変更点の詳細は以下の記事をご確認ください。
【お知らせ】2022年7月バージョンアップに伴うアウトプットへの列追加について
新規アウトプットの追加
本対応に伴って以下のアウトプットが追加されます。
・合計請求書による売上の自動補正データ
合計請求書確定時に売上確定済の請求データの「消費税額」「税抜金額」が補正される可能性があるため、補正されたデータを確認する用途で使用する想定です。
運用上の注意点
合計請求書作成時の注意点
案件の取扱いにて説明の通り、案件は作成のタイミングで「適格」案件、「非適格」案件に分類されます。
バージョンアップ後は、合計請求書の作成において「非適格」案件で作成された請求書と「適格」案件で作成された請求書を、一つの合計請求書として作成できない制限が入ります。
合計請求書作成不可のパターン
「非適格」案件で作成した請求書と「適格」案件で作成した請求書を選択し、新規合計請求書ボタンを押下すると、エラーとなり合計請求書が作成できません。
合計請求書作成可のパターン
「非適格」請求書と「非適格」請求書、「適格」請求書と「適格」請求書の組み合わせは合計請求書作成が可能です。
バージョンアップ後の合計請求書作成における対応方法
合計請求書を利用されているお客様は対応に注意が必要となりますので、個別にご面談等でサポートさせていただく想定です。
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